2018年3月は中国と米国の貿易戦争の影響でドルが下落傾向にあります。貿易戦争にはトランプ大統領が大きく関わっていますが、彼はTPPに反対しています。
TPPの再交渉があるのか、アメリカは不参加のままTPPが破綻してしまうのか、世界ではその点に注目しています。世界情勢は当然のごとくFX市場にも影響を与えるので、ここは一つ貿易戦争の動向に注意を払っていきたいところです。
この記事の目次
TPPの歴史とメリットとデメリット
ここでTPPについてもう一度、振り返っておきましょう。TPPは正式名称をTrans-Pacific-Partnershipと言います。日本と米国を中心とした経済連携協定で2014年3月に安倍首相はTPPへの正式参加を表明しました。
最初は、2006年発足したP4と称するチリ、ブルネイ、ニュージーランド、シンガポールのみのコンパクトなものでした。その後、2009年に米国、ベトナム、ペルー、オーストラリアが参加してTPPに名称変更。
2010年にマレーシアが参加して注目を集めるようになりました。参加国は日本を含めて10カ国になりましたが、各国の国内総生産から判断すると日本と米国が主流になっていることがわかります。
参加国の中でオーストラリアとニュージーランドは米国同様に農産品の関税撤廃を要求していることから、協定を結ぶのではないかという意見も出ています。
TPPに参加することで得られるメリット
関税撤廃で貿易が自由化され日本製品の輸出が増える。大手製造企業は企業内貿易の効率化で利益が拡大する。
閉鎖された島国から国際化が促進され国内総生産が年間2.7兆円増加するなどが想定されています。
TPPに参加することで得られるデメリット
海外製品が安く出回ることでデフレになる可能性がある、安い農作物が外国から輸入されることで日本の農作物が売れなくなります。
食品添加物、農薬、遺伝子組み換え食品などが規制緩和され、食の安全性が危惧される、医療保険の自由化や混合診察が解禁され医療格差が広まることなどが心配されています。
トランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムを輸入制限
トランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を表明したことで、欧州連合は約3600億円の米国輸入製品に対して輸入制限を行う考えでいます。
なお、鉄鋼製品だけでなく工業品や農産品の3分野で約25%の輸入関税を設けることをトランプ大統領は考えています。これに対して、中国、欧米諸国、カナダは不受理の姿勢を示しています。
各国の米国に対する輸入制限
既に中国産鉄鋼の米国に対する輸出は減少しており、中国は欧米諸国やカナダと手を組み対抗措置を講じる方法を模索しています。
米国の輸入制限に対して欧州連合は、大手メーカー(ハーレーダビッドソン、リーバイス、バーボンウイスキー)の輸入制限を発案。
今回の米国の輸入制限はWTOルールに違反していることから、制限することで他国に鉄鋼が流入するリスクを避けるため緊急輸入制限を検討しています。
欧州連合の米国への鉄鋼輸出量は14.3%とカナダの次に多いので、なんとか輸入制限を回避したいところでしょう。
貿易戦争が起こりうるリスク高!
過去には、ブッシュ政権時代に鉄鋼輸入制限が発案されたとき日本とWTOに他国が提訴。米国の農産品の輸入制限を提訴したことで撤廃した経緯があります。
トランプ大統領は3月1日、米国安全保障を事由に鉄鋼25%、アルミ10%の関税を課す提案をしており、3月8日、決議書に署名しました。
北米自由貿易協定で交渉中のメキシコ、カナダは取りあえず除外されますが、全ての国が対象になると宣言しました。
欧州連合と中国はこの宣言に対して対抗する構えであり、このまま行けば貿易戦争が勃発するリスクが高くなる見方が強まっています。
中国はトランプ大統領の強硬姿勢に警戒を強める
今回の鉄鋼輸入制限は中国に照準を合わせているのではないかと言われています。しかし、米国への中国鉄鋼輸入は2%と微々たるもの。
鉄鋼輸入制限を発案しても中国に大きな影響はないのではないでしょうか。
米国は中国の貿易黒字に警戒を示す
本来、中国の鉄鋼供給過剰という現状があり、2018年、鉄鋼生産を3000万トン削減する方針を提起していますが、削減しても世界の半分を中国が占めています。
近年、中国の米国に対する貿易黒字は急増しており、トランプ大統領の輸入制限には強く警告を発しています。
中国としては鉄鋼の輸入制限は序章にしか過ぎないという考えがあり、この輸入制限が容認されれば、知的財産権の侵害が起こることをと予測しての反対と見られます。
今後の日本への影響は?
貿易戦争がデジタル業界にまで及ぶと国際政治にも大きな影響が起きることは間違いないでしょう。
このトランプ大統領の動向に対して日本は、経済大国の保守的な考えを批判するでもなく、自由貿易の大切さに対して意見を述べるわけでもなく、日本は除外して欲しいと発言。
これを受けて世耕経済産業相が米USTR代表に「日本が鉄鋼やアルミニウムで米国の安全保障に悪影響を及ぼすことはない」と除外を求めていますが無回答。
トランプ大統領は米国市場や経済規模、膨大な貿易赤字を理由に貿易戦争をもいとわない姿勢でいます。
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