シリアへのミサイル攻撃とアメリカの核合意から脱退

4月にはシリアに対して、米英仏の3国によるミサイル攻撃が行われました。これは、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したことへの報復措置として行われたものです。

中東の地政学的リスクの高まり

このミサイル攻撃によって中東情勢への懸念が広がりましたが、攻撃は一回のみに留まったために、その後は不安も解消されて原油市場へ影響を与えることもありませんでした。

しかし、5月になるとトランプ大統領が米英独中仏ロの６カ国でイランとの結んだ核合意から脱退すると表明したことで、再び原油価格の上昇する局面を迎えています。

2015年の核合意では、一部の経済制裁の緩和を条件に核開発の制限について合意しましたが、トランプ米大統は核合意の効果に疑問を抱き、解除していた経済制裁を再び実行するとしています。

イランへの経済制裁はいつ？

すぐにイランへの経済制裁を再開せず、3～6ヶ月程度の時間が掛かるとしていますが、核合意からの脱退を発表したことで、地政学リスクが高まっています。

このような国際的な出来事が発生すると、テクニカル手法だけでは対応しきれない部分も出て来ますので、最新のニュースを注意深くチェックしなくてはなりません。

テクニカル手法で大きな利益を得て来た人も、毎日最新のニュースを見るようにしましょう。

為替相場と原油相場の関係

地政学的リスクの高まりと共に考慮しておかなくてはならないのが、原油価格の影響です。為替相場と原油相場は関連性が高く、FXで利益を出すためには原油市場の動向についても十分の理解しておく必要があります。

特にシリアやイランなど原油産出国が大きな問題を抱えてしまうと、原油生産量が大きく増減して原油価格が変動し、為替相場にも大きな影響を与えます。

原油価格が上昇するどうなるか？

原油産出国の通貨が買われ、原油を輸入する国の通貨が売られるのが一般的です。

これは、原油価格の上昇により産出国の景気が良くなりインフレを抑えるために利上げが行われ、原油を輸入する国は価格上昇により経済活動が鈍くなると判断されるためです。

逆に、原油価格が下がると産油国の経済が悪化すると考えて産油国の通貨は売られ、輸入国は原油価格が安くなることで経済活動が活発化すると判断されて輸入国の通貨は買われます。

ただし、原油価格についても為替と同様に、急激な上昇や下降は市場をパニック状態にして、比較的安全な通貨や資産へと動くことも少なくありません。

常に相場が常識的な動きをするとは限りませんが、こうした基本的な動きを理解していると、石油相場が変動した時にFX取引で大きな利益を出すのに役立ちます。

原油価格と各国の通貨の関係

原油価格と米ドルの関係を見てみると、原油価格が上昇すると米ドルは下落し、原油価格が下落すると米ドルは上昇する傾向にあります。

米ドルの変動も原油価格へ影響を与え、米ドルが上昇すると原油価格は下落、米ドルが下落すると原油価格は上昇します。

米ドルを上昇する要因

原油は米ドル建てとなっていますから、自国通貨を米ドルに換えて原油を買うので、米ドル買いにつながり米ドルが上昇する要因となるのです。

原油価格と米ドルの関係から日本円がどう動くが考えると、原油価格上昇・米ドル下落・日本円上昇、原油価格下落・米ドル上昇・日本円下落となります。

原油価格の日本国内への影響については、日本は石油を輸入する立場なので、基本的には原油価格の下落が経済にプラスに働いて、円安になる傾向にあります。

各通貨の原油価格は要チェック

しかし、原油価格が下がれば全体的な輸入額を下げることとなり、輸入額よりも輸出額が多くなって貿易収支が黒字となるため、次第に円高へと向かうのです。

ユーロは原油価格との相関性が高く、原油価格が上昇するとユーロも上昇し、原油価格が下落するとユーロの下落する傾向を持っています。

豪ドル・ニュージーランドドルも原油価格との相関性があり、原油価格と同じように動くことが多いのが特徴です。各国の経済状況などに応じて、原油価格と通貨の関係が異なります。

各通貨と原油価格の関係性を頭に入れておいて、取引をしましょう。

FX取引で利益を出すためには今後の原油価格にも注意する

中東情勢は今後も原油価格に大きな影響を与える要因となっていますが、原油価格の高騰に伴い注目を集めているのがシェールオイルです。

シェールオイルは、多くのケロジェンを含むオイルシェールを熱分解・水素化して生産されます。

成分はほぼ石油と同じですが、油田の場所は点在し数も限られているのに対して、シェールオイルは地下に広がるシェール層に含まれている点が異なります。

シェールオイルは原油価格の上昇を抑えるかも

原油価格の上昇に伴い、シェールオイル生産量が拡大している状況です。さらにシェールオイルを増産されれば、原油価格の上昇を抑える効果も期待できますので、中東情勢以外の情報にも注意しておく必要があります。

このようにFX取引で利益を出すためには、為替相場に影響を与える動きにも気を付けなくてはなりません。ただ為替相場と他の相場の関係性を覚えるだけではなく、どのような仕組みで為替相場に影響を与えるのかも理解しておくようにしましょう。

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